何気なく開いた本『まだ科学が解けない疑問』の中の見出しが、私の目をとらえました。
「同じ形の雪の結晶はあるのか」
数百万年前から降り注いでいる雪の結晶は、それぞれ異なる形をしているということを、疑問形で問いかけているのです。
雪の結晶がそれぞれ異なるのは、子どものころに学校で教わったことがらです。
新しい情報でも何でもありません。
でも水が情報を記憶することを証明したいと苦悩していた私は、常識とでもいうべき、その一行の見出しを見て、心が眠りました。
私に新しいアイディアがひらめいたのです。
「水を凍らせて結晶を見てみたらどうなるのだろう?」
さっそく、若い研究員に命じて、その実験を開始しました。
二ヵ月間の苦闘のすえに、研究員は美しい六角形の結晶写真を撮ることに成功しました。
一九九四年九月、水の結晶写真の撮影に、世界で初めて成功したのです。
何度か撮影しているうちに、あることに気づきました。
同じ「水」でも、不思議なことに、水道水ではまったく結晶はできませんでした。
その一方で、自然水は(とくに有名な名水といわれるものでなくても)結晶ができるのです。
六角形の土台の角から、外側に伸びていく「触角」から、いかにものびのびとした感じを受けるのです。
できあがった結晶の美しさに目を疑ったと同時に、水道水の結晶写真のグロテスクさには、正直、嫌悪感を抱きました。
結晶どころか、見るからに気持ちの悪い形状を見せることが多かったのです。
次に、私はある仮説を立てました。
「水がそれぞれ得た情報によって、その結晶は異なる姿を見せてくれるのではないか」と。
単に塩素が入っている、入っていないといったちがいだけではなく、別の情報によっても、水の結晶のでき方が変わるはずだと確信したのです。
私は二本のガラスのビンに水を入れ、一方には「ありがとう」とワープロで書いた紙を水に向けて貼り付けました。
もう一本には「ばかやろう」と書いた紙を、やはり水に向けて貼りました。
中身はどちらも同じ水です。
「ありがとう」という文字をワープロで打って水の入った瓶に貼り、その水の結晶にしました。
きれいに形の整った、六角形の結晶になりました。
水もほめられると嬉しいのでしょうか。
のびのびとした喜びが伝わってくるようです。
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